第二次補正予算成立で拡充された新型コロナウイルス感染症に関連する助成金
新型コロナウイルス感染症の影響は、日を追うごとに大きくなっています。特に緊急事態宣言による自粛は経済に大きな影を落とし、雇用を維持していくことに危機感が漂っています。そのため、政府は新型コロナウイルス感染症対策として第二次補正予算を組み、執行しています。そこで今回は、この第二次補正予算に組み込まれ、拡充された助成金の概要をとり上げておきましょう。
1.雇用調整助成金の拡充
雇用調整助成金は、事業活動の縮小に伴い、従業員を一時的に休業させるとき等に支給される助成金であり、新型コロナウイルス感染症の対応において、これまで何度も制度の変更が行われてきました。そして今回、もっとも見直し要望が強かった1日あたりの上限額が8,330円から15,000円に引上げられました。
併せて解雇等をせずに雇用の維持に努めた中小企業事業主に対する助成率が、10分の9から10分の10(100%)に引上げられました。その他、2020年4月1日から6月30日となっていた緊急対応期間が、9月30日まで延長され、この期間を1日でも含む判定基礎期間について上限額および助成率の引上げが行われます。
2. 小学校休業等対応助成金の拡充
新型コロナウイルス感染症で小学校等が休業となることに伴い、子どもの世話をする必要のある従業員に対し、特別有給休暇を取得させた事業主には小学校休校等対応助成金が支給されます。この助成金も、1日あたりの上限額が8,330円から15,000円に引上げられました。対象は4月1日から9月30日までの間に取得させた休暇で、申請期間は12月28日までに延長されています。
3.妊婦に対する休暇支援助成金の創設
新型コロナウイルス感染症により、妊娠中の女性が肺炎にかかったときには重症化するおそれがあります。そのため、母性健康管理措置として休業が必要とされた妊娠中の従業員に、特別有給休暇を取得させる事業主に対する助成金が創設されました。
この助成金は、両立支援等助成金の一つのコースであり、対象労働者1人あたり合計5日以上20日未満の休暇を取得させるときは25万円が支給され、以降20日の休暇を取得させるごとに15万円が加算されます(上限額:100万円)。1事業所当たり20人までです。
4.介護する従業員の休暇支援助成金の創設
従業員の家族が利用している介護サービスが、新型コロナウイルス感染症により停止されることがあります。そのため、家族の介護を行う従業員に対し、育児・介護休業法の介護休業とは別に、特別有給休暇を取得させる事業主に対する助成金が創設されました。
この助成金も3.と同様、両立支援等助成金の一つのコースであり、対象労働者1人あたり合計5日以上10日未満の休暇を取得させるときは20万円が支給され、合計10日以上の休暇を取得させるときには35万円が支給額となります。こちらは中小企業の事業主が対象となり、1企業当たり5人までです。
これらの助成金については厚生労働省よりリーフレットが公開されていますので、活用する際には、事前に確認しておきましょう。
■参考リンク 厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
厚生労働省「小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金をご活用ください」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11686.html
厚生労働省「両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)に「新型コロナウイルス感染症対応特例」を創設しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/ryouritsu01/index.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。