新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大に伴い、政府は助成金の拡大や新設をして企業への支援を続けてきました。
これらの助成金の対象期間等の見直しが行われたことから、今回はその内容を確認しておきましょう。

1.雇用調整助成金等の特例措置の延長
従業員の雇用維持のために雇用調整(休業等)を実施する企業に支給されている雇用調整助成金は、新型コロナへの対応に係る特例措置として生産指標要件の緩和や助成率の引上げ、助成額の上限の引上げ等が行われてきました。また、雇用保険に加入していない従業員を対象とした緊急雇用安定助成金も創設されました。このような特例措置等は、主に2020年4月1日から9月30日における休業に対し行われていましたが、これが12月31日まで延長されました。併せて、支給要領なども変更されています。
なお、感染防止策と社会経済活動の両立が図られる中で、休業者数・失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化しない限り、今後特例措置等は段階的に縮小されることも予定されています。

2.小学校休業等対応助成金の期間の延長
新型コロナへの対応として、臨時休業等をした小学校等に通う子どもの世話をする保護者(従業員)に対し特別有給休暇を取得させた場合、小学校休業等対応助成金を受給することが可能です。当初は2020年2月27日から9月30日までの休暇が対象となっていましたが、12月31日まで延長されました。

3.妊婦の休暇取得支援助成金の要件緩和
新型コロナに関する母性健康管理措置として、休業が必要とされた妊娠中の女性従業員が安心して休暇を取得して出産し、出産後も継続して活躍できる環境を整備するため、有給の休暇制度を設けて取得させた企業を支援する助成制度(新型コロナに関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金)が設けられています。
助成金を受給するためには、企業は対象となる有給の休暇制度を整備し、従業員に周知する必要があります。この周知の期限について、2020年9月30日までとなっていたものが、12月31日まで延長となりました。
なお、2021年1月31日までに取得した休暇が助成金の対象となっており、この期限についての変更はありません。

 

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の支給要件に休業等規模が設けられており、休業日数(短時間休業を含む)が少ないときにはそもそも助成金の支給対象となりません。緊急事態宣言の解除後は、新型コロナへの対策をしつつ社会経済活動を回復させる動きが進んでおり、休業は継続しているものの、休業等規模要件を満たさないケースも出てきているようです。雇用調整助成金等の活用を検討されるときには、この休業等規模の要件にご注意ください。

■参考リンク
厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html 厚生労働省「小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援のための新たな助成金を創設しました」 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html
厚生労働省「職場における妊娠中の女性労働者等への配慮について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11067.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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