助成金制度は年度単位で予算が設定されているものが多く、年度初めに助成金の創設・改廃が行われることが通常です。近年は影響の大きなものについて、事前に変更予定である旨の公表が行われるようになりました。2021年度はキャリアアップ助成金に関する変更の予定が公表されています。その主な内容を見ておきましょう。

 

[1]正社員化コース
正社員化コースは、有期契約労働者等の正社員への転換等をした場合に助成が受けられるもので、例えば有期契約労働者を正社員へ転換した場合、1人当たり57万円(大企業の場合42万7,500円)が支給されます。
この支給要件が、以下のように大きく変更されることとなっています。

[従来の要件]
 正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6ヶ月と転換等後の6ヶ月の賃金を比較して、以下のアまたはイのいずれかが5%以上増額していること

  •  基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額。
  •  基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額(転換後の基本給および定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと。)

[新しい要件]
正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6ヶ月と転換等後の6ヶ月の賃金(※)を比較して3%以上増額していること
※基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、賞与は含めません。

[2]諸手当制度等共通化コース
諸手当制度等共通化コースは、有期契約労働者等に関して正社員と共通の諸手当に関する制度を新たに設け、適用した場合等に助成が受けられるものです。例えば家族手当を新たに設け適用した場合、1事業所あたり1回38万円(大企業の場合28万5,000円)が支給され、対象となる有期契約者等1人当たり1万5,000円(大企業の場合1万2,000円)が加算されます。2021年度においては、対象となる手当等の範囲が下表のように変更となる予定です。
※図はクリックで拡大されます

表 諸手当制度等共通化コースの手当等の範囲

多くの手当が対象外となる中で、退職金が追加され、健康診断制度については他のコースと統合となる予定です。同一労働同一賃金への対応の中で諸手当制度等の見直しをされる際には、この助成金の活用を検討してみてもよいでしょう。

ここで取り上げた以外のコースについても変更が予定されているため、参考リンクにあるリーフレットも併せてご確認ください。

■参考リンク
厚生労働省「キャリアアップ助成金が令和3年度から変わります~ 令和3年4月1日以降変更点の概要~」 
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000748772.pdf

厚生労働省「キャリアアップ助成金」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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