障害者納付金制度の対象企業と新型コロナの影響等で休業した場合の取扱い
障害者雇用納付金の申告申請期間が2021年5月17日までとなっています。納付が必要な企業ではそろそろ準備を進める頃かと思いますが、昨年度は新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の影響により休業を行った企業もあるため、申告申請の際、例年とは異なる取扱いが設けられています。そこで以下では、障害者雇用納付金制度の対象企業と新型コロナの影響等で休業した場合の取扱いについてとり上げます。
[1]障害者納付金制度の対象企業
障害者納付金制度は、常用雇用労働者の総数が100人を超える企業のうち、障害者法定雇用率が未達成の企業を対象に障害者雇用納付金を徴収する制度です。ここにおける常用雇用労働者とは、1年を超えて雇用される者(見込みを含む)のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、障害者である労働者も含まれます。常用雇用労働者は1週間の所定労働時間が30時間以上の労働者1人を1カウント、20時間以上30時間未満の労働者1人を0.5カウントとし、その合計が100人を超える(100.5人以上)か否かを判断します。
月ごとに、この常用雇用労働者の総数が100人を前後して変動するような場合は、100人を超える月が4月から翌年3月の一年度に5ヶ月以上(※)あれば、障害者雇用納付金制度の対象になります。
※年度途中の事業廃止等の場合、5ヶ月以上でなくても、申告が必要となることがあります。
[2]新型コロナの影響で休業した場合の取扱い
雇用している障害者の総数を把握するときには、「月毎の所定労働時間」と「月毎の実労働時間」を把握する必要があります。月毎の実労働時間には、所定外労働時間や年次有給休暇、有給の特別休暇等を含め、一定の傷病欠勤の期間は含めません。
休業した期間については、以下のものも月毎の実労働時間に含めます。
- 賃金が全額支払われる休業期間
- 雇用調整助成金を受給して賃金補償をしていた休業期間
- 労働基準法第26条に規定する休業手当を支払っていた休業期間
- 労使協定に基づき賃金の一部を支払っていた休業期間
- 感染症法に基づき、都道府県知事が行う就業制限や入院の勧告等により休業する必要のある休業期間
3~5の休業期間を月毎の実労働時間に含める取扱いは、2021年度の申告申請から適用されるものであり、2020年度以前の申告申請には適用されません。 その他、独立行政法人高齢・障害者・求職者雇用支援機構のホームページには新型コロナに関するQ&Aが掲載され、更新されています。事前に目を通しておきましょう。
常用雇用労働者数の総数が100人を超え200人以下の企業では、障害者雇用納付金の減額特例(月額4万円)が設けられていましたが、2020年3月31日をもって終了し、今回の申告申請の対象となる2020年4月1日からは月額5万円となります。また、2021年3月1日より法定雇用率が2.2%から2.3%に引き上げられており、一層、障害者雇用を進める必要があります。障害者の雇用が進んでいない場合は、雇用に向けた取り組みを強化しましょう。
■参考リンク
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金」
https://www.jeed.go.jp/disability/koyounohu/index.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。