妊娠中・出産後1年以内の女性従業員に対して、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)に関する母性健康管理措置が追加されていますが、この期間が2022 年1月31日まで延長されると共に、「母性健康管理指導事項連絡カード」(母健連絡カード)の様式が変更されています。そこで、今回は、母性健康管理措置と新様式となる母健連絡カードについてとり上げます。

 

1.母性健康管理措置とは
母性健康管理措置とは、男女雇用機会均等法により、妊娠中・出産後1年以内の女性従業員が保健指導・健康診査の際に、主治医や助産師(以下、「主治医等」という)から指導を受け、会社に申し出た場合に、その指導事項を守るために必要な措置の実施が会社に求められるというものです。具体的には以下のような措置があります。

  • 妊娠中の通勤緩和
  • 妊娠中の休憩に関する措置
  • 妊娠中または出産後の症状等に関する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業等)


2.新型コロナで追加された措置

この母性健康管理措置の中に、新型コロナに関する措置として、職場の作業内容等によって、新型コロナへの感染のおそれに関する心理的なストレスが母体または胎児の健康保持に影響があるとして、主治医等から指導を受けたものが追加されました。「感染のおそれが低い作業への転換または出勤の制限(在宅勤務・休業)」が指導の例としてあり、会社は指導に基づいて適切な措置を講じる必要があります。対象期間は現在のところ2022 年1月31日までとなっています。

3.新様式となる母健連絡カード
 主治医等から母性健康管理措置に関する指導があった場合、その指導事項を会社に的確に伝えるためのものとして、母健連絡カードが用意されています(下図参照)。様式について従前のものより求められる措置の内容が分かりやすくなるよう変更され、2021年7月1日から新様式を利用することになります。母性健康管理措置を求める女性従業員には、7月より新様式の母健連絡カードを利用するように案内しましょう。

図 新様式の母健連絡カード

母健連絡カードは、あくまでも主治医等の指導事項を会社に的確に伝えるためのものです。そのため、この母健連絡カードの提出がない場合でも、女性従業員の申し出からその内容等が明らかであれば、会社は必要な措置を講じる必要があります。また、その内容が不明確な場合、会社は女性従業員を介して主治医等と連絡をとり、判断を求める等の適切な対応をとりましょう。

 

■参考リンク
妊娠・出産をサポートする女性にやさしい職場づくりナビ「母健連絡カードについて」
https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/renraku_card/

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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