マイナンバーカードで可能になった雇用保険の失業認定手続
2022年11月末時点で、マイナンバーカードの人口に対する交付率が53.9%になりました。2022年度末にほぼ全国民に行き渡らせるという政府目標にはまだまだ遠い状況があるものの、マイナンバーカードの新規取得等でマイナポイントを付与する仕組みも導入されており、交付率が上昇している状況にあります。
今回は、2022年10月よりマイナンバーカードで雇用保険の失業認定手続ができるようになったことから、この内容をとり上げます。
[1]マイナンバーカードによる認定手続
会社を退職した従業員は、交付された離職票をハローワークに持参し、失業認定手続を行います。その際、顔写真を2枚用意する必要があり、失業認定手続は顔写真を貼付した受給資格者証を用いて本人確認等を行うことになっています。
これが2022年10月1日以降に受給資格決定が行われた人について、本人の希望があれば、マイナンバーカードによる本人認証を活用することで、顔写真を用意する必要がなくなり、また失業認定手続の際に受給資格者証を持参する必要がなくなりました。なお、本人が希望しない場合は従来どおりの手続となります。
マイナンバーカードを活用した場合の流れは、以下のようになります。
- ハローワークにマイナンバーカードを持参し、離職票などの必要書類を提出する。(写真の持参は不要)
- 雇用保険説明会にて、受給資格通知が交付される。
- 失業認定日ごとに、マイナンバーカードによる本人認証が行われ、失業の認定を受けることで、処理結果が印字された受給資格通知が交付される。
[2]マイナンバーカードを活用した失業認定を行う際の注意点
このマイナンバーカードを活用した失業認定等の手続を希望した場合、それ以降、原則として受給資格者証等による失業認定等の手続に変更することはできないことになっています。また、手続の際にパスワードを入力する必要がありますが、3回連続でパスワードを誤って入力するとロックがかかります。そのため、万が一、ロックがかかった場合、住民票がある市区町村の窓口でパスワードの再設定の手続が必要になります。
そのため、これらの注意点をふまえた上で、マイナンバーカードを活用するか否かの検討が必要です。
ここでは失業認定の手続をとり上げましたが、雇用保険高年齢受給資格者証、雇用保険特例受給資格者証、教育訓練給付金および教育訓練支援給付金受給資格者証についても、マイナンバーカードで本人認証を行う場合、受給資格者証等の提出が不要になります。様々な場面でマイナンバーカードを活用した取組みが進み、次第に利便性が高まってくることが想定されます。今後の情報も確認しておきたいものです。
■参考リンク
厚生労働省「マイナンバーカードで失業認定手続ができるようになります」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T221005S0032.pdf
総務省「マイナンバーカード交付状況について」
https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/kofujokyo.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。