2024年4月から適用となるトラック運転者の時間外労働の上限と改善基準告示
いよいよ2024年4月1日より、自動車運転業務、建設事業、医師について、時間外労働の上限規制が適用となります。
これに併せて自動者運転業務に従事するトラック運転者、バス運転者、タクシー・ハイヤー運転者の改善基準告示が2022年12月23日に改正されました。
以下では、2024年4月1日より施行されるトラック運転者に関する改正内容について解説します。
[1]時間外労働の上限
トラック運転者について、特別条項付き36協定を締結する場合、年間の時間外労働の上限が年960時間となります。
なお、この960時間には法定休日労働の時間数は含みません。ただし、一般企業等ですでに適用されている以下の2つについては適用されません。
- 時間外労働と休日労働の合計について、月100時間未満、2〜6ヶ月平均80時間以内
- 時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6ヶ月まで
そのため、1ヶ月の上限については規定がありませんが、例えばある月の時間外労働が100時間となった場合、他の月の時間外労働を削減すること等により、年960時間を超えないようにする必要があります。
[2]改善基準告示
トラック運転者の改善基準告示が改正され、以下のようになります。
- 1年の拘束時間
3,516時間 ⇒ 原則:3,300時間(最大:3,400時間)
- 1ヶ月の拘束時間
原則:293時間(最大:320時間)⇒ 原則:284時間(最大:310時間)
- 1日の休息期間
継続8時間 ⇒ 継続11時間を基本とし、継続9時間を下回らない
この他、改正はありませんが、1日の拘束時間や運転時間など様々な基準が設けられています。
[3]労働局に編成された「荷主対策チーム」
厚生労働省では、上記の改善基準告示を広く周知するために、「荷主特別対策チーム」が編成されています。この「荷主特別対策チーム」の活動として、トラック運転者の長時間労働の是正のため、発着荷主等に対して、長時間の荷待ちを発生させないことなどについての要請と、その改善に向けた働きかけが行われることになっています。
そのため、長時間の荷待ちに関する情報収集として、厚生労働省ホームページに、以下のような「長時間の荷待ちに関する情報メール窓口」が新設されており、発着荷主等が長時間の荷待ちを発生させていると疑われる事案などの情報を収集し、その情報を基に、労働基準監督署が要請等を行うとしています。
2024年4月1日の施行まで1年余りです。自動車運転者を雇用するトラック運送業等は、時間外労働時間の削減に向けた取組を行うとともに、荷主の企業もトラック運送業に対する対応が適切なものになっているか考える必要があります。
■参考リンク
厚生労働省「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/gyosyu/roudoujouken05/index.html
厚生労働省「改善基準告示の改正に伴い「荷主特別対策チーム」を編成しました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29877.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。