2020年4月より大企業、2021年4月より中小企業において、正規雇用労働者(以下、「正社員」という)と非正規雇用労働者(以下、「パート等」という)との間の不合理な待遇差が禁止されました(いわゆる「同一労働同一賃金」)。これに関連して、2022年11月、厚生労働省は「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」(以下、「調査結果」という)を公表しました。以下では、同一労働同一賃金に係る見直し状況と見直しが行われた内容について確認します。

 

[1]同一労働同一賃金に係る企業の見直し状況
同一労働同一賃金の施行に伴い、正社員とパート等に不合理な処遇差が生じていた場合、その見直しが必要になりました。今回の調査結果から同一労働同一賃金の施行日以降の見直し状況をみると、「見直しを行った」が28.5%、「待遇差はない」が28.2%、「見直しは特にしていない」が36.0%となっています。
「見直しは特にしていない」と回答した企業の割合は、企業規模が小さくなるほど高く、例えば1,000人以上の企業規模は16.3%ですが、100~299人では27.5%、50~99人では31.5%、30~49人では37.1%となっています。
見直しの実施内容(複数回答)については、「パートタイム・有期雇用労働者の待遇の見直し」が19.4%、「正社員の待遇の見直し」が6.2%、「パートタイム・有期雇用労働者の職務内容等の見直し」が6.1%と続いています。

 

[2]見直した待遇の内容
「パートタイム・有期雇用労働者の待遇を見直し」をした企業のうち、見直した待遇(複数回答)を確認すると、「基本給」が45.1%ともっとも多く、「有給の休暇制度」が35.3%、「賞与」が26.0%と続いています(下表参照)。※図はクリックで拡大されます。

まだ見直しを行っていない企業や、再度検討を考えている企業は、まずは自社において不合理な待遇差が存在しないかを洗い出し、法令および判例も参考にしながら、見直しの検討を進めましょう。

 

■参考リンク
厚生労働省「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/170-1/2021/index.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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