今後多くの制度変更が予定される障害者雇用
2024年4月より障害者の法定雇用率が2.5%、2026年7月より2.7%と段階的に引き上げられます。
これに関連して障害者雇用納付金制度の変更などを含む障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則が改正され、2025年4月より施行される予定です。以下では、今後変更が予定されている内容を確認します。
[1]実雇用率算定の特例
障害者の実雇用率の算定では、週所定労働時間が20時間以上の労働者をカウントの対象としていますが、2024年4月より、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者についても0.5人としてカウントするという改正が施行されます。
この改正の背景には、障害特性で長時間の勤務が難しいこと等により、週所定労働時間20時間未満で雇用されることを希望する人がいずれの障害種別でも一定数存在し、特に精神障害者で多いという実状があります。このようなニーズを踏まえ、週所定労働時間が20時間未満であれば働くことができる人の雇用機会の拡大を図っていく狙いがあります。
[2]障害者雇用納付金制度
常時雇用労働者数が101人以上の事業主を対象として、法定雇用率が未達成の事業主から納付金(不足人数1人当たり月額50,000円)を徴収する障害者雇用納付金制度があります。
また、常時雇用労働者数が101人以上の事業主で、法定雇用率を達成しているときには超過1人当たり月額27,000円の障害者雇用調整金が支給されます。この障害者雇用調整金の見直しが行われ、今後、支給対象人数が年間120人(単純換算で1ヶ月10人)までは月額29,000円、年間120人を超える場合は120人を超える人数分への支給額が23,000円となる予定です。
また、常時雇用労働者数が100人以下の事業主で、法定雇用率を達成している場合には障害者雇用報償金が支給されていますが、こちらも支給額が変更される予定です。
加齢により職場適応が困難となった障害者の雇用継続を図るための助成金(中高年齢等職場適応助成金(仮称))、障害者の新たな雇入れや雇用継続を図るために必要な一連の雇用管理に関する相談援助の事業を行うための助成金(障害者雇用相談援助助成金(仮称))が創設される予定です。このような助成金の活用も検討しながら、法定雇用率未達成の企業を中心に雇用の確保に向けた取り組みを進めましょう。
■参考リンク
厚生労働省「事業主の方へ」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。