ハローワークを通じた障害者の就職件数 コロナ禍以前と近い水準に
民間企業における法定雇用率については、2023年4月から1年間は2.3%で据え置きとなりましたが、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%と段階的な引上げが行われることになっています。
こうした状況を受け、今後更なる障害者雇用を計画されている企業も多いと思われますので、今回は厚生労働省より公表された令和4年度のハローワークを通じた障害者の職業紹介状況について確認します。
[1]新規求職申込件数・就職件数
ハローワークへの新規求職申込件数は233,434件(前年度223,985件)となっており、対前年度に比べ4.2%増加しています。
次に、障害者の就職件数は102,537件(前年度96,180件)となっており、対前年度に比べ6.6%増加しています。この就職件数の内訳をみると、身体障害者が21,914件、知的障害者が20,573件、精神障害者が54,074件、その他の障害者が5,976件となっています。2013年度以降、精神障害者の就職件数が身体障害者の就職件数を上回っています。この10年間で、身体障害者の就職件数は減少傾向にあり、知的障害者の就職件数は横ばい、精神障害者の就職件数は増加傾向にあることが分かります(下図参照)。※図はクリックで拡大されます。
[2]産業別・職業別の就職状況
産業別に就職状況を見てみると、就職件数全体(102,537件)のうち「医療、福祉」が 39,122件と全体の約3分の1を占めており、「製造業」12,765件、「卸売業、小売業」11,222件、「サービス業」10,723件と続いています。
また職業別に就職状況を見てみると、「運搬・清掃・包装等の職業」が33,097件と全体の約3分の1を占めており、「事務的職業」24,383件、「サービスの職業」12,877 件、「生産工程の職業」11,977 件と続いています。障害種別の就職状況では、身体障害者については「事務的職業」、知的障害者および精神障害者については「運搬・清掃・包装等の職業」の割合が、職業別の中で一番高くなっています。
障害者の採用にあたっては、企業はハローワークに障害者専用求人を出すことができますが、2022年度の専用求人数は240,486人で、前年度(213,416人)より12.7%増加しています。障害者法定雇用率の引き上げを受け、多くの企業が障害者雇用に力を入れている状況ですので、安定した雇用の確保のためには、早めの対応が求められます。
■参考リンク
厚生労働省
「令和4年度 ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめを公表します」
ハローワークインターネットサービス
「障害者の方の雇用に向けて」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。