過去20年間で最多となった休業4日以上の死傷者数と第14次労働災害防止計画
先日、厚生労働省より昨年(令和4年)の労働災害発生状況が公表されました。
昨年は労働災害の死亡者数が過去最少であったものの、休業4日以上の死傷者数は過去20年間で最多となりました。
以下では、労働災害による死傷者数の内容とこれに関連して今年度からスタートした第14次労働災害防止計画についてみておきます。
[1]労働災害による死傷者数
2022年1月から12月までの新型コロナウイルス感染症へのり患によるものを除いた労働災害による休業4日以上の死傷者数(以下、「死傷者数」という)は132,355 人で、前年より1,769 人の増加となり、こちらは過去20年間で最高となりました。2023年3月31日で終了した第13次労働災害防止計画では、死傷者数を2017年と比較して、2022年までに5%以上減少させることを目標としていましたが、9.9%の増加となり、目標を達成することができませんでした。
また、第13次労働災害防止計画の重点業種である陸上貨物運送事業、小売業、社会福祉施設、飲食店では、2017年と比較していずれも増加し、特に社会福祉施設については、2017年と比較して46.3%の増加となりました。
そして、全産業の事故の型別でみると、「転倒」が35,295 人ともっとも多く、「動作の反動・無理な動作」の20,879人、「墜落・転落」の20,620人が続いています。
[2]第14次労働災害防止計画
そもそも労働災害防止計画とは、労働災害を減少させるために国や会社、労働者等が重点的に取り組む事項を定めた中期計画のことで、今年度より第14次労働災害防止計画がスタートしています。
この中で、1の労働災害による死傷者数に関連する目標としては、以下の内容が掲げられています。
- 上貨物運送事業における死傷者数を2022年と比較して2027年までに5%以上減少させる
- 製造業における機械による「はさまれ・巻き込まれ」の死傷者数を 2022年と比較して2027年までに5%以上減少させる
そして、労働災害による死傷者数の減少に向けた対策として、高年齢労働者が安全に働ける職場づくり、労働者の作業行動に起因する労働災害を防止するための対策、第三次産業など、労働者の増加または入れ替わりが頻繁である業種において安全衛生対策の取組強化などが挙げられています。
厚生労働省・都道府県労働局から各事業場に対して、全国安全週間(7月1日から7日まで)とその準備月間(6月1日から30日まで)の期間において、積極的な労働災害防止活動の実施が働きかけられることになっています。そのため、各事業場の安全衛生管理体制の確認や、安全作業マニュアルの整備・見直しを実施し、労働災害の防止につなげていきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「労働災害防止計画について」
厚生労働省「令和4年の労働災害発生状況を公表」
厚生労働省「令和5年度「全国安全週間」を7月に実施」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。