熱中症による死傷者が増加する中、労働安全衛生規則が改正され、2025年6月より新たな熱中症対策が企業に義務化されます。
以下では、熱中症による死傷災害の状況と今回義務化される事項をとり上げます。

 

[1]熱中症による死傷災害の状況
厚生労働省から2023年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」が公表されています。
これによると、2023年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は、1,106人と前年比で279人増えています。
過去10年間の推移は下表のようになります。業種別では、全体の約4割が建設業と製造業で発生しています。
※図はクリックで拡大されます。

 

 

死傷者(死亡・休業4日以上)1,106人のうち、熱中症による死亡者数は31人で、建設業(12人)や警備業(6人)で多く発生しています。死亡災害の状況を分析すると、多くの事例で暑さ指数(WBGT)を把握せず、熱中症予防のための労働衛生教育を行っていませんでした。また、糖尿病、高血圧症など熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある疾病を有している事例も見られました。

 

[2]6月から義務付けとなる事項
このような状況をうけ、熱中症対策として、2025年6月より以下の2つの事項が義務付けられます。

  1. 報告体制の整備

    熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、「熱中症の自覚症状がある作業者」および「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」がその旨を報告するための体制(連絡先や担当者)を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知することが必要になります。
    この熱中症を生ずるおそれのある作業とは、WBGT28度または気温31度以上の作業場において行われる作業で、継続して1時間以上または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれるものとされています。

  2. 措置内容・実施手順周知

    熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、(1)作業からの離脱、(2)身体の冷却、(3)必要に応じて医師の診察または処置を受けさせること、(4)事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等など、熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置に関する内容や実施手順を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知が必要になります。

 

厚生労働省では、職場における熱中症予防対策を徹底するため、労働災害防止団体などと連携し、5月から9月まで、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。厚生労働省のポータルサイト「職場における熱中症予防情報」では、動画コンテンツや事業主、安全・衛生管理担当者、現場作業者向けの資料などが公開されていますので、対策を行う際にぜひご活用ください。

 

■参考リンク
厚生労働省
職場における熱中症予防情報」 
厚生労働省
STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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