改正労働安全衛生法の成立と7月から始まる全国安全週間
改正労働安全衛生法及び作業環境測定法が成立し、2025年5月14日に公布されました。
以下では、公布された改正労働安全衛生法の中から特に押さえておきたい内容と、7月から始まる全国安全週間の取り組みについてとり上げます。
[1]押さえておきたい改正労働安全衛生法
改正労働安全衛生法の中で、実務上の影響が大きく、特に押さえておきたい項目として「個人事業者等に対する安全衛生対策の推進」と「ストレスチェックの実施」の2点があります。
まず、1点目の個人事業者等に対する安全衛生対策の推進については、既存の労働災害防止対策に個人事業者等も取り込み、労働者だけでなく個人事業者等による災害の防止を図るため、以下の措置を行う必要があります。
- 注文者等が講ずべき措置(個人事業者等を含む作業従事者の混在作業による災害防止対策の強化など)を定め、併せてILO第155号条約(職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約)の履行に必要な整備を行う。〔2027年4月1日施行〕
- 個人事業者等自身が講ずべき措置(安全衛生教育の受講等)や業務上災害の報告制度等を定める。〔一部2027年1月1日施行と2027年4月1日施行〕
次に、2点目のストレスチェックの実施については、現在は労働者数50人以上の事業場に対して義務付けられているものを、今後、労働者数50人未満の事業場にも義務付けるものです。施行日については、公布後3年以内に政令で定める日とされています。今後、厚生労働省からはパンフレットなど様々な情報発信が行われる見込みですので、そうした資料も活用しながら、対策を進めましょう。
[2]7月から始まる全国安全週間
厚生労働省では、7月1日から7日までを「全国安全週間」、6月1日から30日までを準備期間として定め、以下の事項を実施することをアナウンスしています。
- 安全広報資料等を作成し、配布する。
- 様々な広報媒体を通じて広報する。
- 安全パトロール等を実施する。
- 安全講習会や、事業者間で意見交換し、好事例を情報交換するワークショップ等を開催する。
- 安全衛生に係る表彰を行う。
- 「国民安全の日」(7月1日)の行事に協力する。
- 事業場の実施事項について指導援助する。
- その他「全国安全週間」にふさわしい行事等を行う。
また6月より、熱中症予防対策が事業主に義務づけられましたが、これについては上記の全国安全週間の実施要綱の中で、事業場(事業主)が継続的に実施する事項のひとつに挙げられています。熱中症のおそれのある作業者の早期発見のための連絡体制の整備とその内容の周知など、対応ができていない場合は早急に行いましょう。
■参考リンク
厚生労働省
「第217回国会(令和7年常会)提出法律案」
厚生労働省
「令和7年度「全国安全週間」を7月に実施」
厚生労働省
「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。