労働保険は、農林水産の事業の一部を除き、労働者を一人でも雇用したときには労働保険の適用事業所として保険関係成立の届出や、労働保険料の納付が必要になります。一方、廃業し、労働保険の適用事業所を廃止するときにも一定の手続きが必要になります。今回は、廃業時に必要となる労働保険と雇用保険の手続きについてとり上げます。

 

1.労働保険関係の手続き
労働保険の適用事業所を廃止するときには、労働保険料を精算する手続きが必要です。
労働保険の保険料は、4月1日から翌年3月31日までの保険年度を単位として計算されることになっており、保険年度ごとに、当年度に従業員に支払う予定の賃金額により、保険料の概算額(概算保険料額)を計算した上で、申告・納付を行い、翌年度の申告の際に実際に従業員に支払った賃金額により、保険料の確定額(確定保険料額)を計算した上で、概算額と確定額の差を精算します。
したがって、保険年度の途中で事業所を廃止するのであれば、年度途中までに支払った賃金額により計算した確定保険料額と、既に納付した概算保険料額との差額の精算を行います。
具体的な手続きとしては、事業所を廃止した日の翌日から50日以内に、労働保険確定保険料申告書を管轄の労働基準監督署等へ提出します。確定保険料額が概算保険料額より多い場合には、その差額を同時に納付することが必要であり、概算保険料額が確定保険料額より多い場合には、労働保険料還付請求書を提出することによって、還付を受けます。

2.雇用保険関係の手続き
雇用保険は労働保険の手続きとは別で、事業所を廃止した日の翌日から10日以内に、適用事業所廃止届を管轄のハローワークへ提出します。届出書には、登記簿謄(抄)本等、事業所を廃止した事実が確認できる書類を添付します。事業所を廃止することにより、従業員(雇用保険の被保険者)は雇用保険の資格を喪失することになるので、資格喪失届と離職証明書を作成し、あわせて提出します。

 事業所を廃止するとなると、様々な手続きが発生することになるため、労働保険に関する手続きを失念することも考えられます。従業員に関わる手続きもありますので、漏れなく対応しましょう。

■参考リンク
厚生労働省「労働保険の適用・徴収に関する主な制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/index.html
厚生労働省「雇用保険制度 手続き一覧表」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken/tetsuduki_ichiran01.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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