新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の影響で休業し、休業により賃金が著しく下がったときには、会社から日本年金機構等へ届け出ることで、健康保険料・厚生年金保険料の標準報酬月額を、翌月から改定できる特例(以下、「特例改定」という)が設けられました。そこで今回は、この特例改定についてとりあげます。

 

[1] 月額変更の原則
社会保険では標準報酬月額を用いて保険料額等を決定しています。この標準報酬月額は、1年に1度、定時決定(算定基礎)で見直される他、昇給や降給等の固定的賃金の変動に伴い、賃金の額が大幅に変わったときに行う月額変更により見直しが行われます。
月額変更では固定的賃金が変動した月から3ヶ月間に支払われた賃金の平均額が大きく変動している場合に、4ヶ月目より標準報酬月額を改定しますが、今回の特例改定では、休業により賃金の額が大幅に変わった月1ヶ月で判定し、翌月より標準報酬月額を改定することができます。

 

[2] 特例改定の条件
今回の特例改定は、以下の3つの条件をすべて満たす場合に行うことができ、また通常の月額変更と異なり任意の届出とされています。

  1. 新型コロナの影響による休業(時間単位を含む)により、急減月(2020年4月から7月までの間の1ヶ月であって、休業により賃金が著しく下がった月として会社が届け出た月)が生じている
  2. 急減月に支払われた賃金の総額(1ヶ月分)に該当する標準報酬月額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上下がっている
    ※固定的賃金の変動がない場合も対象
  3. 特例により標準報酬月額を改定することについて、従業員が書面により同意している

特例改定を行うことで、社会保険料の負担は減りますが、同時に、将来において受給できる年金や傷病手当金、出産手当金が減少する可能性があるため、上記3.のように従業員の十分な理解に基づく事前の同意が前提とされています。

 

[3] 特例改定を利用する際の留意点
休業が複数の月に亘っている場合には、どの月を急減月として届け出るかにより社会保険料の負担額が異なってきます。同一の従業員について複数回申請を行うことはできませんので、急減月の候補が複数あるときには慎重に判断しましょう。

今回の特例改定を利用するときには、日本年金機構等のホームページで公開されている専用の様式と申立書により届け出ることになります。届出期限は2021年1月末(※)となっています。また、従業員の同意は書面で行う必要がありますが、その届出の必要はなく、届出日から2年間保管しておく必要があります。
※2021年1月31日は休日のため、厳密には2021年2月1日までに受け付けられたものが対象。

 

■参考リンク
日本年金機構「【事業主の皆さまへ】新型コロナウイルス感染症の影響に伴う休業で著しく報酬が下がった場合における標準報酬月額の特例改定のご案内」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/0625.html

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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