今年10月は人事労務関係において様々な法改正等が実施されます。以下ではその主なトピックをとりあげます。

 

1.改正育児・介護休業法の施行
改正育児・介護休業法については、10月より出生時育児休業(産後パパ育休)の創設と育児休業の分割取得等が始まります。出生時育児休業は、子どもが1歳に達するまでの育児休業とは別に取得することができる新たな育児休業です。特徴として、労使協定を締結した場合は、労使で合意した範囲で休業中に就業すること(合意による就業)ができます。
法改正に対応した就業規則(育児・介護休業規程等)の整備が完了していない場合は、早急に整備を進めましょう。今後、従業員から会社への育児休業取得に関する相談が増えることも予想されるため、制度の内容を理解しておくことが求められます。

 

2.出生時育児休業給付金の創設
1.の改正育児・介護休業法に対応した形で、これまでの育児休業給付金とは別に、雇用保険の出生時育児休業給付金が創設されます。合意による就業の場合、就業が一定の水準以内であれば、出生時育児休業給付金を受け取ることができます。その際、出生時育児休業期間中の就業により支払われる賃金額と、出生時育児休業給付金の合計が、休業前賃金日額×休業日数の80%を超える場合は、その超える額が出生時育児休業給付金から減額されます。

 

3.育児休業中の社会保険料免除仕組みの変更
10月以降、育児休業中の社会保険料の免除の仕組みが変わります。月額保険料は同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合にも、その月の保険料が免除の対象として追加されます。一方、賞与保険料については、連続して1ヶ月を超える育児休業を取得した場合に限り免除となります。12月に賞与が支給される企業が多いことから、その時期に育児休業を取得予定の従業員には誤解のないよう説明しましょう。

 

4.101人以上500人以下の企業への社会保険の適用拡大
10月より、従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が101人以上の事業所が社会保険の特定適用事業所となります。特定適用事業所になることで、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するパートタイマーの基準が変更され、1週の所定労働時間が20時間以上の場合に、社会保険への加入が必要となります(その他の要件もあり)。なお、10月時点で対象にならなかった事業所についても、101人以上の月の数が、1年間のうちに6ヶ月となった月の翌月より特定適用事業所となります。

 

5.雇用保険料率の変更
2022年度は年度の上期と下期で雇用保険料率が異なるという異例の取扱いとなりました。10月からの雇用保険料率は、下表のとおりです(※表はクリックで拡大されます)。大幅な引き上げとなり、従業員の負担も増えることから、事前に説明をするとともに、給与からの雇用保険料の控除を誤らないよう注意しましょう。

 

10月より、育児休業に関する取扱いが大きく変わり、制度が複雑化しています。その他、従業員の給与計算に関係する内容もあるため、制度の正しい理解が求められます。お困りごとがございましたら、当事務所までお問い合わせください。

 

■参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

厚生労働省「令和4年10月から育児休業給付制度が変わります」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000838696.pdf

日本年金機構「令和4年10月から短時間労働者の適用拡大・育休免除の見直し等が行われます」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2022/0729.html

厚生労働省「令和4年度雇用保険料率のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/content/000921550.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 

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