厚生労働省調査からみる男女別の離職理由
先日、厚生労働省から「令和5年雇用動向調査結果の概要」が公開されました。
この雇用動向調査は、全国の主要産業における入職者数・離職者数、入職者・離職者の性・年齢階級、離職理由等の状況を明らかにすることを目的に、上半期と下半期の年2回実施されており、今回の結果は、この2回の調査結果を合算し年計として取りまとめたものです。
以下では、入職と離職の状況、転職入職者が前職を辞めた理由別割合をとり上げます。
[1]入職と離職の状況
2023年における1年間の入職者数は8,501.2千人、離職者数は7,981.0千人となり、入職者が離職者を520.2千人上回りました。年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は16.4%(前年比1.2ポイント上昇)、離職率15.4%(前年比0.4ポイント上昇)と、いずれも前年を上回っています。また、入職超過率は1.0ポイントとなっており、前年と比べると0.8ポイント拡大しています。
[2]転職入職者が前職を辞めた理由
2023年における転職入職者が前職を辞めた理由をみてみると、「その他の個人的理由」「その他の理由(出向等を含む)」が多くの割合を占めていますが、これらを除いた各年齢区分におけるもっとも割合の高い理由は以下のようになっています。
[男性]
19歳以下 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 28.4%
20~24歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 11.4%
25~29歳 仕事の内容に興味が持てなかった 14.1%
30~34歳 給料等収入が少なかった 14.1%
35~39歳 職場の人間関係が好ましくなかった/給料等収入が少なかった 11.3%
40~44歳 職場の人間関係が好ましくなかった 14.6%
45~49歳 職場の人間関係が好ましくなかった 11.1%
50~54歳 仕事の内容に興味が持てなかった 10.9%
55~59歳 職場の人間関係が好ましくなかった 12.9%
60~64歳 定年・契約期間の満了 54.6%
65歳以上 定年・契約期間の満了 61.0%
[女性]
19歳以下 職場の人間関係が好ましくなかった 22.9%
20~24歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 15.6%
25~29歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 18.4%
30~34歳 職場の人間関係が好ましくなかった 9.6%
35~39歳 職場の人間関係が好ましくなかった 13.1%
40~44歳 労働時間、休日等の労働条件が悪かった 17.6%
45~49歳 職場の人間関係が好ましくなかった 18.7%
50~54歳 定年・契約期間の満了 10.1%
55~59歳 職場の人間関係が好ましくなかった 15.7%
60~64歳 定年・契約期間の満了 43.3%
65歳以上 定年・契約期間の満了 31.0%
このように各年齢区分によって、もっとも高い割合の前職を辞めた理由が異なっていますが、この背景には、仕事に対する考え方や仕事と家庭の両立などの従業員自身を取り巻く状況などが影響していると考えられます。人材採用が難しい中、既存従業員の定着がこれまで以上に重要になっています。人材の定着の進める上で、労働条件や職場環境の見直しが必要なのかを点検し、問題があれば見直しをしていきましょう。
■参考リンク
厚生労働省
「令和5年 雇用動向調査結果の概要」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。